“他人事と油断していたネット詐欺” 辻 喜男・すみ子

今年10月中旬、今まで経験したことのない事件が起きました。
夜、調べたいことがあってパソコンを開き、検索のクリックをした途端、突然パソコンから、車の盗難防止の警告音のような大音量が鳴り、画面が切り替わり動かなくなってしまったのです。大音量は鳴り続けたまま、パニック状態になってしまいました。画面には、「このパソコンはウィルスに侵入されました。元に戻すために、画面の下に書いてある電話番号に電話するように。」と書いてある。取り敢えず電話をかけてみると、応答に出た相手は、片言の日本語で、画面に入力するように指示。大音量が鳴り続ける中、聞き取りにくい言葉に耳をそばだて、相手が操作してくる画面に入力していくうちに、「この音うるさいなぁ!」と言って、向こうが大音量を止めたのです。この時点で変だと気付かなければいけないのに、動転していて、音が止まったのにホッとして、さらに指示してくるままにしていると、「これを修理するため3万円かかります。そして今後のセキュリティをするために、「3万円」、「5万円」、「8万円」の提示したものの中から選んで、電子マネーで支払うように。」と言う。電子マネーなど持っていないと言うと、「それなら、コンビニで『グーグルプレイカード』3万円を2枚買ってくるように。店員に目的を聞かれたら、『パソコンの修理』と言わず、『ゲームのため』と言うように。」と言うのです。
車で外に出てから、PCに詳しい牧師と息子に電話をしました。すると「それは詐欺だから、すぐにパソコンの電源を切る、電話も切るように。」とのこと。
すぐに家に引き返して、パソコンの電源を切り、電話を切ったのですが、すぐに向こうから電話がかかって、切るとまたすぐにベルが鳴る。5、6回、電話番号の末尾を変えてかけてきました。その都度「迷惑電話」のボタンを押す。「着信制御」の状態になって電話は止んだ。胸の鼓動は止まらない。嫁から「大音量詐欺」についての情報がLINEで送られてきて、チェックすると、項目のすべてが合致。被害はなかったものの、詐欺の巧妙さ、怖さをひしひしと感じた出来事でした。
何より、息子夫婦がクリスチャンであることの幸いを覚えました。PCについては頼りの息子に助けられ、何よりも嫁が電話の向こうでお祈りをしてくれたことで、何と心が落ち着いたことでしょう。
パソコンは、見えない相手にも、世界ともつながっている便利な道具だけれど、考えの及ばないことが起こり得ることを体験したことでした。後期高齢者になって、今更ながら時代の流れに敏感でなければと思っています。

 

 

 

2022年12月12日