今年の「灰の水曜日」は3月2日で、教会暦では「四旬節」という時期に入ります。この時期は別名「受難節」とも呼ばれ、復活祭(イースター)の前日まで続く、イエス・キリスト様が十字架に至るまでの苦難の道を思い起こす期間です。「四旬」というのは「40」という意味ですから、つまり四旬節は「イエス様の苦しみを思い起こす40日間」だということです(日曜日を除く)。この日を「灰の水曜日」と呼ぶようになったのは、四旬節の初日に、前の年の四旬節でつかった棕梠(しゅろ)の枝や十字架などを焼いて灰にし、その灰を用いて神様に祈るという典礼があったことが由来だそうです。
この棕櫚の枝は、キリストのエルサレム入城のとき、民衆は「ホサナ(救ってください)!」と叫んで歓迎し、キリストが通る道に民衆の上着とともに敷かれました。そして、キリストが乗っていたのが子ロバです。なぜキリストは馬や軍馬ではなく、ロバしかも子ロバに乗って入場されたのでしょうか。絵を想像するとどう感じられますか? これは旧約聖書のゼカリアの預言の成就です。
娘シオンよ、大いに喜べ。娘エルサレムよ、喜び叫べ。見よ、あなたの王があなたのところに来る。義なる者で、勝利を得、柔和な者で、ろばに乗って。雌ろばの子である、ろばに乗って。
わたしは戦車をエフライムから、軍馬をエルサレムから絶えさせる。戦いの弓も絶たれる。彼は諸国の民に平和を告げ、その支配は海から海へ、大河から地の果てに至る。(ゼカリヤ書 9章9~10節)
ロバは荷物を運ぶための家畜であり、キリストが「馬」や「軍馬」ではなく、「子ロバ」に乗られたことは、「平和の主」であることを示しています。「平和の主」は人間の権力や武力によらず、神の権威と霊によって闇の世を光の支配に置かれるのです。そのことは、この後の十字架と復活により、実現していきます。十字架の死は敗北のようですが、それが罪と死に対する唯一の勝利の道なのです。
現在、阪南バイブルチャペルの聖書入門クラスでは、このエルサレム入城から始まるイエス・キリストの最後の1週間を学んでいます。ご興味のある方は是非お越しください。
@写真・キリストのエルサレム入城(北マケドニアのフレスコ画から)