六十年の時を隔てて 辻 喜男
今年4月から、すでに大学生になっていた二人の孫に加え、あと二人も新しく大学生になりました。それぞれが二十歳前後の年齢になり、目標を定め、希望をもって歩んでいることに、喜びと共に一種の羨望のまなざしで見ています。
私自身の二十歳前後のことを思い出しています。高校はようやく卒業できたものの、大学受験に失敗し、目標のない日々を過ごしていました。そして、成人式を迎えた翌月に、母親が病気で亡くなってしまいました。何とかしなくてはと思いながらも、どうすることもできない中に、さらにこの悲しみが重なりました。しかし、少し前から教会に通っていたことが、後から考えれば希望の光となっていたように思います。
今の孫たちの元気で楽しそうな境遇を見ながら、私自身果たせなかった夢の実現に向けて、それぞれが歩んでいることに、約六十年前と時代は大きく変わったことに感慨を深くしています。
一人は音大でドラムを叩いています。そしてもう一人は、アメリカの大学に入学してしまいました。あとの二人のうちの一人は、地方都市の国立大学に、広大なキャンパスが気に入ったと寮生活をしています。そして最後の一人は、東京都心で交通便利な私立大に入学しました。
それぞれの孫たちが夢に向かって進んでいってほしいと願っています。ただそれ以上に嬉しいことは、彼らもクリスチャンとして歩もうとしていることです。私たち夫婦で始まったクリスチャン家庭が、二人の子供に家族が与えられ、私たちも含めて総勢十二人になりました。家族ひとり一人がクリスチャンとして、社会に有益な人材になることを願っています。
「幼子は成長し、知恵に満ちてたくましくなり、神の恵みがその上にあった。」ルカ2:40