主はわが飼い主   辻 善男


 先月行われたエリザベス女王の葬儀は、荘厳な雰囲気の中でフィリップ王子との結婚式の会場でもあったウエストミンスター教会で執り行われました。
テレビ中継を見ながら、自分も世界の要人たちに囲まれて参列しているような感覚になりました。それは、式がキリスト教式であっただけでなく、私たちが毎週教会で行っている礼拝のプログラムと同じ内容であったことにもよりました。棺が安置されると、全員起立して讃美歌を歌い、聖書が朗読され、説教と祈りがささげられました。参列者全員が、いのちを与え、いのちを取られる創造主なる神をほめたたえました。中でも、この葬儀を身近に覚えたのは、歌われていた讃美歌の一曲が、私たちも教会で親しんでいる曲であったことでした。テレビ中継を見ながら、参列者とともに大きな声で賛美しました。その讃美歌「The Lord’s my shepherd」は「主はわがかいぬし、われはひつじ」という歌詞で始まります。この歌詞は、旧約聖書の中でも多くの人々に愛されている、詩篇23篇に曲をつけたものです。
詩篇23篇(新改訳聖書2017年版による)
 「主は私の羊飼い。私は乏しいことがありません。主は私を緑の牧場に伏させ いこいのみぎわに伴われます。主は私のたましいを生き返らせ 御名のゆえに私を義の道に導かれます。たとえ死の陰の谷を歩むとしても 私はわざわいを恐れません。あなたがともにおられますから。あなたのむちとあなたの杖 それが私の慰めです。私の敵をよそに あなたは私の前に食卓を整え 頭に香油を注いでくださいます。私の杯はあふれています。まことに私のいのちの日の限り いつくしみと恵みが私を追って来るでしょう。私はいつまでも主の家に住まいます。」

 この讃美歌は、エリザベス女王がご自分で選ばれ、結婚式でも歌われたそうです。結婚式ではこれからの女王としての歩みに、主なる神の守りと導きが与えられるように祈り、葬儀では、たとえ死の陰の谷を歩むことがあっても 私は災いを恐れません。あなたがともにおられますからと神に感謝し、最後には私はいつまでも主の家に住まいます、と讃美しています。
 この讃美歌を女王の生涯にわたる信仰告白として、私たちも一緒に神を讃美することができました。

 

 

 


2022年10月17日