「すべてのことには定まった時期があり、天の下のすべての営みに時がある」
「神のなさることはすべて時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を与えられた。」 伝道者の書 3章1節、11節
2021年10月9日(土)に91歳の父が天国に旅立ちました。
14年前に母が天に召されてから神戸の実家で一人暮らしをしていた父が8年前に脊髄梗塞で下半身が麻痺し、歩くことも、立ち上げることも、排泄も全くできなくなりました。
半年間の入院、有馬温泉病院でのリハビリの後、もう自宅で一人では生活できなくなったので施設に入所することになりました。実家は六甲山の裏側の緑豊かなところにありました。まずは実家の近くで施設を探しましたが、通うのに疲れ果てていました。そんなとき自宅マンションの隣に老人ホームが一年前に新築しているのを思い出し見学に行くと、施設も新しくまだ空きもあり、何より入居者の皆さんが笑顔で過ごしておられるのを見て「ここだ!」と思いました。一つ気になったのは緑の豊かな六甲山から緑の少ない大阪の真ん中に移住することを父が納得できるかと言うことでした。祈りながら父にどうするか聞いてみると「行く」と二つ返事でした。早速手続きを進め、父は私たちの文字通り隣人になりました。それから毎日朝刊を父に届けるのが私の日課になりました。
疲れて父のところにいくのがしんどい時もありましたが、行くと笑顔で迎えてくれ、帰りに必ず「ありがとう」と手を挙げてくれました。施設のスタッフさんにもおどけたりして、下半身麻痺も「痛みが無いから良かった」と前向きに捉えていました。
気候の良いときは近所を車椅子を押しながら散歩したり、ハルカスや海遊館に妹と三人ででかけたりしました。コロナで面会が禁止されている時は1階のカフェでコーヒーを飲んでいる時を見計らって窓から手を振ったり、新聞だけは毎日短い手紙を付けて届けていました。
元気そうにしていた父ですが9月半ばから全くご飯を食べなくなり、栄養剤をかろうじて飲んでいました。9月の終わり頃には看取り介護になり、施設の方からどんどん会いに来て下さいと言われ戸惑いながら会えることを喜んでました。黒田先生ご夫妻に面会していただき、先生が私に「お父さんがアーメンと言いやすいお祈りを由美子さんがして、その後救いのお祈りを私がします」とおっしゃって下さいました。そして父に先生がアーメンはその通りという意味ですからそう思ったらアーメンと言って下さいねと教えて下さり、私は父に育ててくれたこと、病気でも前向きでいて尊敬できることを感謝してるとお祈りで父に伝えることができました。父は黒田先生のお祈りにもうなずいていました。
その6日後山里先生ご夫妻も訪ねてくださり、「お会いできて嬉しいこと、天国で藤井のみんなと会えることを確認してくださる」と、またうんうんとうなずいていました。その1時間後、父は本当に眠るように穏やかに魂も心も体も平安のうちに天にひきあげられました。
その穏やかな顔は神様を信じて天に召されることの幸いを証ししていました。
隣人になって7年間、父と濃密な時間を神様が備えてくださり、導いてくださったことを心から感謝しております。