「父の残してくれたもの」 山里 薫

「お父さんがイエス様を信じて、天国に行くってお祈りをして大きな声でアーメンって決心したのよ!!」母からの涙の電話を受けたのはこの10月の初め。この10月は父と母の結婚50周年記念日でもあり、貝塚から、私達は休暇をとってお祝いに行く予定だった。

いつも「アーメン、アーメンって言ったって何になる。」キリストに反抗してきた父。
「うそ、、」私の心の声。

食事がとれなくなり、在宅医療になった父への母の切なる願いはただひとつ。

人間はやがて死に必ず別れの時がくる。

「地上で50年一緒に生きたたのだから、天国も一緒に行きましょう。」50年もの母の長い長いを神様は聞いてくださり奇跡がおきた。あの父が、、、アーメンと十字架を信じ永遠の命をいただきたいとうなずいたのだ。

私達が予定した休暇を前に父が吐血したとの連絡を受けた。私達夫婦、小学生の娘2人、ペットを車にのせて夜中の高速を走った。「間に合って!私も父の告白を聞きたいの、」東京の実家についたのは夜中の2時。そしてすぐ、私の夫、義理の息子である山里将之牧師に導かれ家族の見守る中で父は洗礼にあずかった。みんなで一緒に天国に行くね。と呼びかける中で、横にいた娘も「あんみも天国行くよ。」と思わず声をかける。みんなで天国の再開を約束して賛美歌を歌った。

それから、3日間、私は父の隣で泊まり込みながら父とたくさん話しをした。子供のころに連れて行ってもらった動物園の思い出や喧嘩したときのこと。感謝。そしてこれからのこと。残される母のこと。意識の朦朧としている中で時々目で訴えながら父は聞いてくれていた。小学校の娘たちもおじいちゃんのためにお祈りしたり、賛美をしたり。3日たって家族に囲まれ、天に旅立った。明日は山里牧師の司式のもと告別式を行う。

主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます。
使徒の働き16章31節

母と私はこの聖書のことばが真実だったことに驚くような神様の御業を見せていただいた。母は結婚50周年記念、高価なお祝いよりも、父が家族に残してくれた天国への希望という何にも代えがたい最高の贈り物を受け取ったと感謝をしている。

@ 写真↑ 父が愛した景色:東京都足立区北千住近く、荒川の河川敷

2021年10月31日